巻き爪・肥厚爪
当院の巻き爪治療:
巻き爪とは爪が丸く曲がった状態を言います。巻き爪により痛みがある場合に治療を行います。
巻き爪+爪の周りが炎症を起こしている場合:
手術を行います(保険診療)。
歯医者さんと同じような局所麻酔をして、爪の周りの肉に刺さっている爪を一部切って抜きます。時間は15分程度です。
巻き爪肉に食い込んでいるだけでなく、その肉が盛り上ってきてしまっている場合(保険診療):
同じように麻酔をして、爪の周りの肉に刺さっている爪を一部切って抜きます。さらに、爪の周りに盛り上がってしまった余分な肉を電気メスで取り除きます。時間は30分程度です。
巻き爪だけ・炎症がない場合(自費):
巻き爪の矯正を行います。
器具で爪の巻きを矯正した後に、アクリル製の人工の爪をつくって、矯正した爪を固定します。人工の爪は1か月ほどでとれてしまいますので入れ替えが必要です。あるいは、激しい運動で人工の爪が取れてしまうことがあります。その場合は、付け直しが必要です。曲がっていた爪が伸ばされるので、爪に違和感があります。もし、爪の周りに痛みが生じた場合にはすぐに来院してください。爪が厚くて矯正しにくい場合は爪をグラインダーで削ります。時間は30分程度です。
厚くなってしまった爪(肥厚爪)
爪は様々な原因で厚くなります。爪水虫や、靴などによる締め付け、歩き方、足指の骨の変化や単に年を取るだけでも厚くなります。厚い爪は傷の原因になったり、爪水虫の温床となって他の人にも感染させてしまいますので、できるだけ取り除いたほうがよいです。ご高齢の方などでは自分では爪が切れずにお悩みのこともあるかと思います。当院では、こうした爪も切らせていただきます。ニッパーで切れる簡単なものなら、保険診療で行います。非常に厚くてニッパーでは切りずらい場合にはグラインダーで削ってきれいにさせていただきます。これは自費診療です。
また、厚くなった爪は下記の通り爪の水虫のことがありますので、真菌検査を行います。その場で行います。結果もすぐにわかります。
爪白癬(爪水虫)
爪が白く濁っていたり、とても厚くなっていたら、それは爪白癬かもしれません。これは爪に白癬菌(水虫菌)が感染して起こるものです。とても治りにくいです。
検査:爪の一部を取って、顕微鏡で菌がいないか調べます。その場で結果がわかります。ただし、1回では検出できないこともあり、何度か行って初めて検出できることもあります。
治療:最近は、飲み薬や塗り薬が出ています。それでも飲み薬で、1年後に治る確率は半分、塗り薬で2割くらいです。爪全体が侵されたものさらに治りにくいです。飲み薬は最新のもので、3か月間内服というものがありますが、肝臓を一時的に悪くすることがあるので採血しながら副作用がないかを確認しながら使用します。治らないからと言って放置すると、体の水虫(たむし)や頭の水虫になることもあります。頭の水虫になると毛が抜けてしまします。
ケア:白く濁った爪は、白癬菌の塊といってもいいくらいたくさん菌がいるので、短く切って、薄く削ってしまう方が治りやすいです。当院では、薬だけでなく、感染した爪を削ることもできます。
治りにくい爪の変化
爪が縦に割れたり(爪甲縦列)、層状に剥がれたり(爪甲層状分裂)、脆くなった状態(脆弱爪)、爪が先からはがれて、先の白い部分が長くなった状態(爪甲剥離といいます)は難しいです。
こうした場合には、爪のケアを説明したり、縦に割れた爪は人工爪をつけることで、対応します。
参考文献
1. Kasuya A, Tokura Y. Preservative and surgical interventions to treat ingrown nail and pincer nail. J Cutan Immunol Allergy. 2018;1:165–169.
※院長が行った、様々な巻き爪治療につき解説しています(英語)。onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/cia2.12036
2.高齢者皮膚病変のケアを究める・爪病変のケア:糟谷 啓
ここが大事!高齢者皮膚診療のコツとピットフォール, 139-42, 2019.
※高齢者の爪ケアのポイントを解説しています。
3.巻き爪・陥入爪の治療法を教えてください:糟谷 啓
皮膚科の臨床・付属器疾患 vol62(6), 980-986, 2020.
※爪ケアの一般的な種類を解説しています。